額装の家
借景を採り込む
住まいレポート 2015.10.01
Sさんの戸建てリノベーション。築30年のハウスメーカー建売住宅の改修です。
計画当初、Sご夫妻は部屋が狭いと感じ増築の可能性を検討されていました。狭く感じるのはモノの多さだけでなく、家具のレイアウトであったりばらばらの質感や光沢=視覚的に散らばっている雑多な情報が狭く感じる要因と捉え直しリノベーションが進められた。
操作はいたってシンプル。一様な質感・光沢の壁とサクラのフローリングで構成。屋外の借景を取り込む窓まわりと部屋どうしを繋ぐ開口部、2種類のフレームを整理している。
もともと以前からそこにあった庭の植栽であったり、仙台の都心とその先に広がる海まで見える景観がより身近になったと話されていたのが印象的でした。
覗き孔のような引戸の手掛かりもユニーク。
家の重心であるキッチンと北側のラバトリーにのみ色を与えた。深いイエローのボックスと洞窟は良い意味での異物感を出してくれた。
建物基本性能のメンテナンスと設備更新が1階に集中していることもあって、工事範囲は1階と外装に集約。家中に溢れていたモノは整理され、1階は快適な住環境/2階は寝室と職業柄書籍の多いおふたりの書斎に。
捨てるモノ、整理するモノ(=情報)を丁寧に選定をした結果、1階だけでなく図書館のような2階も工事したかのようでした。(2階の写真掲載はありません)
最後も窓まわりから。光を和らげる、輪郭がぼんやりとしたファブリックブラインド。2階バルコニーの斜め手摺。
意識しないままに素通りしてしまいそうな細部に気を留めてデザインのきっかけとしていました。
種類 | 戸建てリノベーション |
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家族構成 | ファミリー |
面積 | - |
エリア | 丘陵地 |
設計 : studio niko 佐藤研也
撮影 : はま田 あつ美